この中には誰がどんな映画を購入したか、といった購入履歴のデータベースを管理する機能があり、一度購入すると複数のネットワーク対応機器で楽しめる。そんな機能が加わっていることが注目点だった。
言い換えると物理的なメディアの所有権を買うためにパッケージ化された作品を買うのではなく、コンテンツの使用権を購入し、クラウドから使用したいデバイスへと配信する。少し難しく言うと、“所有権の販売から使用権の販売への移行”といった仕組みが盛り込まれている。
同じようなことは、音楽業界でも起きている。ソニーのMusic Unlimitedは、所有する楽曲とクラウド上のライブラリのマッチングという新しい概念を持ち込んだし、同様の考え方はアマゾンやグーグルも取り入れている。さらにアップルもiTunes Matchという形で、遅ればせながら昨年末にサービスを始めた。
その背景にあるのは、スマートフォン、タブレットの隆盛だ。高解像度のディスプレイを持つ製品の市場があちこちに出現したことで、コンテンツを様々な時間、場所で楽しみたいというニーズが生まれたからだ。
記事の本題ではなく前置きでしかないが,これは電子書籍についても同様のことが言えるだろう。
ただ一点異なることがあるとすれば,話題に上っている動画や音楽コンテンツとは違い,書籍においては電子コンテンツの市場自体がまだまだ立ち上がっていないということだろう。
つまりは電子書籍についてはまだ市場そのものの立ち上げという状況にあり,DRMや電子書籍そのものの融通性など利便性を無視した現状では,およそユーザーニーズを満たし得るものではないだろう。
すでにある音楽や動画の電子コンテンツ市場で購入したコンテンツのポータビリティが充実しつつある現状で,たとえば購入した電子書籍が利用するPCのOSを再インストールしただけで楽しめなくなるというようなことでは,電子書籍を積極的に購入しようと思うことはないのではないだろうか?
ユーザーがわざわざ書籍を裁断までして電子化を行うまでのニーズがありながら,そのようなポータビリティでは面倒でも“自炊”した方がユーザビリティの高い電子書籍となり,利用しやすいと言える。